「副業に興味ありませんか?」
「自由な働き方をしている仲間を探しています」
「詳しい話はDMで」
ThreadsやInstagramなどのSNSを見ていると、こうした投稿やメッセージをきっかけに、後からMLM(ネットワークビジネス)の話へ進むケースがあります。
問題は、MLMそのものが違法ということではありません。特定商取引法では「連鎖販売取引」としてルールが定められており、ルールを守って行う取引まで一律に違法になるわけではありません。
それでも、なぜSNSやDMの現場では「会社名を最初に言わない」「勧誘目的をぼかす」「誰でも稼げるように見せる」「会社公式より強い商品表現をする」といった問題が繰り返されるのでしょうか。
会社公式 → アップ → ダウン → SNS投稿 → DM → Zoom・説明会 → 契約
この流れのどこで説明が変わり、なぜ違反につながり得る表現が生まれるのかを分解します。
私はこれまで、多くのMLMや副業案件の勧誘を実際に受け、その後も記事で追跡してきました。最近ではThreads上で、一定期間に20人以上からクオリア(QUALIA)につながる勧誘を受けた経験もあります。
- なぜMLMの法律違反はなくならないのか
- SNS時代のMLM勧誘は「投稿→DM→Zoom」へ変わった
- 「会社名を言うと逃げられる」が目的を隠す勧誘につながる
- 実際にThreadsで20人以上から勧誘されたQUALIAのケース
- 「商品を売りたい」が薬機法・景表法に触れる表現につながることがある
- 「成功しているように見せたい」が収入・キラキラ投稿を過激にする
- 会社公式では言っていないことを会員がSNSで言い始める
- なぜアップから聞いた危ない説明がダウンへコピーされるのか
- 違反が起きても「会社ではなく個人の問題」で終わってしまう構造
- 行政処分を見ると「同じ問題」が繰り返されている
- 「DMなら大丈夫」「個人アカウントなら大丈夫」とは限らない
- SNSでMLMを勧誘する前に確認したい10項目
- 勧誘された側は何を保存しておけばいい?
- 詳しい法律は「特商法・連鎖販売取引」の記事で確認
- よくある質問
- 法律を知らないままSNSでMLMを勧誘すること自体が大きなリスク
なぜMLMの法律違反はなくならないのか
会社がコンプライアンス資料を作り、会員へ研修をしていても、実際に友人へ声をかけたりSNSへ投稿したりするのは個々の会員です。そこで起きやすいのが、公式ルールと現場の勧誘とのズレです。
- 会社は正確な説明を求める
- アップが自分の成功体験を加える
- ダウンがそれを「正しいやり方」と覚える
- SNSでは短く強い表現へ変わる
- 次の新人が同じ言葉を使う
すべての会社・会員がこのような勧誘をしているわけではありません。しかし、紹介報酬やランクとSNS集客が重なると、「正確さ」より「反応が取れる言葉」が優先されるリスクがあります。
SNS時代のMLM勧誘は「投稿→DM→Zoom」へ変わった
現在はSNSを入口に、投稿→DM→メッセージアプリ→Zoom・個別面談→商品や紹介制度の説明、という導線を作りやすくなっています。
この流れ自体が直ちに違法という話ではありません。重要なのは、連鎖販売取引の勧誘に先立って何を告げたのかです。
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、勧誘に先立って、統括者等の氏名・名称、特定負担を伴う契約について勧誘する目的、商品または役務の種類を告げる必要があると説明しています。
「会社名を言うと逃げられる」が目的を隠す勧誘につながる
「最初からMLMと言ったら断られる。まず会ってもらおう」という考え方は、集客側には効率的に見えるかもしれません。しかし、連鎖販売取引には勧誘に先立つ明示ルールがあります。
SNS上の挨拶すべてに長い法律説明を書くという意味ではありません。連鎖販売取引の勧誘へ進む際、必要事項を隠したまま誘引していないかを確認します。
2025年3月の株式会社SEEDに対する行政処分でも、統括者の名称・勧誘目的・商品の種類の不明示、公衆の出入りしない場所での勧誘などが問題とされました。
実際にThreadsで20人以上から勧誘されたQUALIAのケース
今回、SNS勧誘の具体例として入れておきたいのがクオリア(QUALIA)です。私は一定期間にThreads上で20人以上からクオリアにつながる勧誘を受けました。
ここで言いたいのは、「クオリアだから違法」ということではありません。個々の勧誘で、会社名・勧誘目的・商品やサービスの種類をいつ伝えたのか、どのような説明でZoom等へ進んだのかを見る必要があります。
さらにQUALIA公式FAQではSNS利用について一定のルールを示しています。つまり、会社公式のルールと個人会員のSNS勧誘を分けて見る必要があります。
実際に受けたThreads勧誘、UNITYとの関係、公式ルールとの違いはこちらで詳しく検証しています。

「商品を売りたい」が薬機法・景表法に触れる表現につながることがある
MLMでは会員自身が商品愛用者でもあることが少なくありません。本当に「自分には良かった」と感じるからこそ強く勧めたくなる場合もあります。
しかし健康食品や化粧品などの発信では、商品や広告該当性に応じて薬機法・景品表示法等のルールが関係します。「治る」「改善する」と受け取られる表現や、誰でも同じ結果になるような表示、実際より著しく優良・有利と誤認させる表示には注意が必要です。
「個人の感想です」と書けば何でも許されるわけではありません。会社公式資料より強い効果を個人会員が付け足さないことが重要です。
「成功しているように見せたい」が収入・キラキラ投稿を過激にする
高級ホテル、旅行、ブランド品、自由な時間。「スマホだけ」「権利収入」「会社員を卒業」といった投稿そのものが直ちに違法という話ではありません。
確認したいのは、一部の成功例や売上を、誰でも再現できる収入のように見せていないかです。売上と最終利益も別です。
キラキラSNS投稿とMLM集客の関係はこちらで詳しく整理しています。

会社公式では言っていないことを会員がSNSで言い始める
| 会社公式では慎重に説明 | 個人SNSで強くなっていないか |
|---|---|
| 収入には個人差 | 「誰でも稼げる」 |
| 認められた範囲の商品説明 | 「これで治った」 |
| 無理な購入を推奨しない | 「本気ならこの量を買う」 |
| 正確な費用・条件 | 負担額を後から説明 |
これは会社がその表現を指示しているという意味ではありません。会社公式では言っていないことを、個人会員が「アップから聞いた」「成功者が言っていた」「自分も体験した」という理由で付け加えていないかを見る必要があります。
なぜアップから聞いた危ない説明がダウンへコピーされるのか
MLMは人から人へ商品やビジネスを紹介して組織を広げます。そのため情報も連鎖します。
途中の誰かが悪意を持っているとは限りません。本人が本当に正しいと信じて伝えている場合もあります。
しかし、「アップからそう教わった」は、事実確認や法令確認をしなくてよい理由にはなりません。
この「自分は正しい」という説明が組織内で連鎖する心理についてはこちらで詳しく整理しています。

違反が起きても「会社ではなく個人の問題」で終わってしまう構造
会社が規約や研修を用意しても、全国の会員が投稿するSNS、個別DM、対面会話を常時すべて確認することは容易ではありません。
一方、会員側では「みんなやっている」「アップも同じ投稿をしている」「会社から注意されていない」といった理由で、その方法が正しいと思い込むことがあります。
逆に、個人会員の問題投稿が見つかったからといって、根拠なく「会社が違反を指示した」と決めつけることもできません。公式資料と実際の勧誘を分けて確認します。
行政処分を見ると「同じ問題」が繰り返されている
会社名だけを並べるのではなく、何が行政上問題とされたのかを比較します。
旧記事では複数社の行政処分を一覧にしていました。今回の修正版では、会社数を競うのではなく、何が繰り返し問題になっているかを見ます。
- 名称・勧誘目的・商品種類を適切に明示しない
- 重要事項について事実と異なる説明をする、または告げない
- 勧誘目的を告げずに誘引した人を、公衆の出入りしない場所で勧誘する
- 迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘する
2025年3月のSEEDの処分でも、氏名等の明示義務違反、公衆の出入りしない場所での勧誘、迷惑を覚えさせるような勧誘が確認されています。
会社名や時代が変わっても、問題になる勧誘パターンには共通点があります。
「DMなら大丈夫」「個人アカウントなら大丈夫」とは限らない
SNSについては法律名を雑に当てはめないことも重要です。
たとえば、旧記事には「SNSのDM=そのまま特定電子メール法違反」と読める強い表現がありました。しかし、媒体やメッセージの内容、広告該当性などを確認せず一律に断定するのは適切ではありません。
一方で、DMであれば特商法上の勧誘ルールが消えるわけでもありません。実際の連鎖販売取引の勧誘にどうつながったかを見ます。
また、投稿やDMは削除できても、相手側にスクリーンショット、チャット履歴、Zoom案内、送信日時が残ることがあります。
SNSでMLMを勧誘する前に確認したい10項目
- 会社・統括者等の名称を必要な段階で伝えたか
- 勧誘目的を伝えたか
- 商品・サービスの種類を伝えたか
- 負担額や継続費用を隠していないか
- 収入や成功例を誇張していないか
- 商品の効果を会社公式より強く言っていないか
- 「絶対」「必ず」「誰でも」など根拠のない断定をしていないか
- 相手が嫌がっているのに勧誘を続けていないか
- アップから聞いただけの話を事実として投稿していないか
- 会社公式資料と自分の投稿・DMが矛盾していないか
分からない項目があるなら、投稿やDMを送る前に会社のコンプライアンス窓口や公式資料、必要に応じて専門家・公的窓口で確認する方が安全です。
勧誘された側は何を保存しておけばいい?
「何かおかしい」と感じた場合は、相手を論破するより、まず記録を残します。
- SNS投稿とプロフィール
- DM・LINE等のメッセージ
- Zoomや説明会への案内
- 説明資料・報酬表
- 商品説明
- 契約書面・概要書面
- 支払明細
- 勧誘者の名前・日時
契約後のクーリング・オフ等についても、送信したメールやWebフォームのスクリーンショットなどを保存しておくことが重要です。
詳しい法律は「特商法・連鎖販売取引」の記事で確認
この記事では「なぜSNSの現場で問題が繰り返されるのか」に重点を置きました。
氏名等の明示、不実告知、広告表示、書面交付、クーリング・オフなど、連鎖販売取引そのもののルールはこちらの記事で詳しく整理しています。

よくある質問
MLM・ネットワークビジネス自体が違法なのですか?
いいえ。特定商取引法では連鎖販売取引として規制されています。取引そのものと、具体的な勧誘方法の適法性は分けて考えます。
SNSでMLMを紹介したら違法ですか?
SNSを使ったという一点だけで違法とは言えません。広告・勧誘の内容、必要事項の明示、実際にどのように契約へ誘導したかなどで判断が変わります。
会社名をZoomで初めて伝えるのは大丈夫ですか?
個別事情によりますが、連鎖販売取引では勧誘に先立つ明示事項があります。「契約直前に言えばよい」と単純には考えない方がよいでしょう。
「個人の感想です」と書けば商品の効果を自由に投稿できますか?
その一文だけですべての広告規制を回避できるわけではありません。商品、投稿内容、広告該当性などを確認する必要があります。
アップから教わった通りに投稿した場合は?
誰から聞いたかとは別に、自分が発信する内容を確認する必要があります。会社公式資料と照合してください。
勧誘を受けて困ったらどこへ相談できますか?
消費者トラブルであれば消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センター等につながります。契約書面やDMなどの記録を手元に残して相談すると状況を説明しやすくなります。
法律を知らないままSNSでMLMを勧誘すること自体が大きなリスク
「アップから教わった」「みんなやっている」「会社から注意されていない」「個人アカウントだから大丈夫」。
これらは、自分の投稿や勧誘内容が適切だと確認したことにはなりません。
SNSはMLMの集客を簡単にしました。一方で、一つの投稿を短時間で多くの人へ広げ、DMやスクリーンショットとして記録を残す場所にもなりました。
MLMを続けるか、やめるか以前に、自分が何を伝える必要があり、何を言ってはいけないのか分からない状態で他人を勧誘しない。
私はこれを最低限のラインだと考えます。
会社の名前が変わっても、SNSが変わっても、勧誘方法がDMやZoomへ変わっても、相手は一人の消費者です。
「どうすれば人を集められるか」を考える前に、「この伝え方で相手が正しく判断できるか」を確認する。
法律違反を減らす第一歩は、そこからだと思います。


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